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眼からウロコの人事評価―第1回 評価はなぜメチャクチャなのか

2015.03.02

文句のつけどころがない評価はあり得ない

 

人事面接

冒頭から私事で恐縮ですが、私は以前、貿易実務の専門学校でファイナンスの非常勤講師をしていました。その中で最も厭わしかったのが受講生の評価をする仕事です。基本的に試験とレポートの点数で成績をつけましたが、たとえば試験では、私が「確実性等価」という言葉で理解していることを「確実同値額」と書いてくる人がいました。これが許容される表現なのかどうかを調べなければなりませんし、一人を正解にしたら他の人も正解にしなければならないので、覚えておかなければなりません。

 

レポートは、表面的な優劣をつけること自体はむしろ試験より楽でした。しかしインターネットからの丸写し(コピペ)と思われる記述に悩まされました。明らかに丸写しであると思われましたが、証拠がないので失格にできません。外国人の受講生には英語で書くことを許しましたが、私の英語力では、内容こそ理解できるものの、悲しいかなコピペはもちろん、術語の誤りにも気付きません。

 

こちらとしては最大限公正に評価しているつもりですが、毎期必ず、「どうして私がBなのですか」という問い合わせがいくつか寄せられました。これに対応するのはいま思い出しても憂鬱なことでした。正直、「評価手当」ともいうべきものが欲しいと思いました。

 

答案用紙とレポート用紙の中で完結している、学力の評価でさえこれほど難しいのですから、人事評価の難しさは尚更です。よく「うちの会社の評価はメチャクチャだ」という人がいます。しかし、仕事で日常起こりうる場面というものは無限であり、それらをすべて紙の上に書き、「こういう場合はこうせよ」という処方まで書くことは不可能です。仮に書いたとしても何百ページにもなってしまい、誰も読みきれません。

 

評価基準を作ろうとすると、延々と欠点を指摘し続ける人がいますが、誰からも文句のつけどころがない、マークシート式試験のような評価基準を作ることは不可能です。マークシート試験にさえ、まったく新しい問題を作ることが困難であるという欠点があります。過去何年か分の問題を調べたら、次に出る問題が相当程度見当がついてしまいます。

 

また、上司は複数いる自分の部下を四六時中監視しているわけにはいきません。たまたま良い場面あるいは悪い場面だけを目撃する可能性は大いにあります。そうかといって自分の目で見ないで他人からの情報をあてにしていたら、いい加減な情報をつかまされてしまいます。このため、上司が誠心誠意公平に評価したにもかかわらず、「どう考えてもAさんの方が貢献しているのに、この評価ではBさんの方が高得点になってしまう」というようなことが頻繁に起こります。