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眼からウロコの賃金管理―第9回 等級制度の作り方_③職務給のメリット・デメリット

2015.05.31

 

職務給のメリット・デメリット

以前、このコラムで、日本企業にいま求められる賃金改革の一つとして、年功賃金から職務給への転換ということをあげました。

 

職務給のメリットは、まず「賃金は労働の対価」という原則にかなうことです。賃金が労働の対価であることに疑いの余地はありません。労働基準法も賃金のことを「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定義しています。同じ仕事をしていながらも勤続年数や家族構成によって著しく異なる賃金制度は、労働の対価としての性格がすべてであるとは言えません。

 

また、仕事の価値に応じた賃金を払うので、それほど重要でない仕事をしている人に対して高い賃金を払うようなことが起こりません。

 

さらに、職能資格制度において悩みの種であった、経験者採用の初任給をどうするかという問題も解決されます。職務給であれば、わが社での勤続年数がゼロであることを理由に、不当に低い賃金に抑える必要がないので、同じ企業が職能資格制度である場合に比べれば、優秀な人材を採用しやすくなります。

 

職務給に関してしばしば指摘される問題は、人事異動が行いにくいということです。賃金が仕事の内容によって決まるならば、従業員を今より低い賃金に甘んじさせるべき仕事に異動させた時には賃金を下げなければなりません。本人に責めを負わすべき理由がないとき、それは不合理であるという考え方です。たしかにこの考え方にも一理ありますが、時代はもはや既得権を保証できるような状況ではありません。需要が限られた世界で、賃金も雇用もともに保証するということは不可能です。

 

職務給を採用すると、市場や技術の変化につれて職務内容も変化するので、それに対応して職務の価値評価も変えてゆかなければなりません。このコストを問題にする意見もあります。これはもっともな意見です。しかし世界の変化に対応して価値判断の基準を変えてゆかなければならないことは、能力で決める賃金であれ責任で決める賃金であれ同様であり、ひとり職務給だけの問題ではありません。