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眼からウロコの賃金管理―第1回 いま求められる賃金改革とは 【第1回】定期昇給の代案がない

2015.03.02

賃金問題

政府は2014年9月に開いた「政労使会議」で、「年功序列の賃金体系を見直し、労働生産性に見合った賃金体系に移行することが大切」と訴えました。たしかに、高度経済成長時代に形成された賃金制度を、停滞する経済のもとで維持することには限界があります。仕事の内容ではなく勤続年数や家族構成など、個人としての属性を基準として決める日本の賃金制度は国際的にみても特殊で、存続の可能性が疑問視されています。

 

それではどのような賃金制度が時代の要求に適合するのか、今後1年の予定で、このコラムで考えてゆきます。 

 

定期昇給の代案がない

日本の賃金が年功序列であると言われる背景には、定期昇給の存在があります。新卒入社が標準であり、その後定期的に昇給するとすれば、各年齢でこのくらいの賃金になるというものを思い描くことができ、これを「賃金カーブ」と呼びます。この賃金カーブを、今後も維持することは難しいでしょう。賃金カーブは企業が存続し続けるということと、雇用保障が高いことが前提でなければ成り立ちません。これらの前提は近年、相当程度動揺してきています。

 

その一方で定期昇給は、成績に応じて昇給額に差をつることによって、個人の賃金を企業への貢献度に応じた水準に収斂させてゆく、現状ではほぼ唯一の仕組みです。これに代えてどういう賃金決定方式をとるのかということについてまでは、政労使会議は言及していません。

 

また、いままで定期昇給が行われてきて、従業員の間に賃金格差がある状態で、いきなり定期昇給を廃止するとなると、現在の賃金格差が定年まで引き継がれることになります。こういう状態が放置できるはずはなく、一度賃金を新たに決め直す必要があります。

 

要するに、定期昇給を廃止するにしても、その代替案が議論されていません。