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眼からウロコの賃金管理―第8回 等級制度の作り方_②職能資格制度はなぜ年功的になるのか

2015.05.27

 

職能資格制度はなぜ年功序列になるのか

しばしば、職能資格制度は年功序列になりやすいと言われます。その理由としてまず、誰がどのような能力を持っているのかを測定するのが難しいことがあります。評価の対象となる能力には「折衝力」、「現状認識力」、「判断力」などがあります。こういうものを測定するにはおそらく筆記試験や実技試験が最適でしょうが、実際そうしているかどうかは不明です。

 

神戸大学大学院教授の高橋潔氏は「職務遂行能力によってイメージされるのは,たとえば,問題解決能力,計画立案能力,対人折衝能力,適応能力,調整能力,統合能力などの幅広い人間の才能であるが,これらが職務遂行能力の中核的構成要素なのか,単なる思いつきの要素なのかは定かでない。」(『人事評価の総合価額』白桃書房2010年)といっていますし、明治大学教授の遠藤公嗣氏は、「職能資格基準を設定するのに、職務分析と職務評価をおこなわず、参考にしない。だから、この『職務遂行能力』は職務関連的でなく、抽象度は高く、多分に、頭の中で構成されたものに過ぎない」(『これからの賃金』旬報社2014年)といっています。 

 

また、同じ会社で働いている人に「あなたは有能」、「あなたは低能」というレッテルを、簡単に貼れるものでありません。実際、職能資格制度を採用している会社で、高い等級の人が際立って有能で、低い等級の人が低能かというと、そういう傾向はほとんどみられません。無相関です。みなさん有能です。

 

このように職能資格制度は、能力の序列という理想とはかけ離れがちで、結局、能力の代理指標としての経験年数で格付けすることになります。