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眼からウロコの人事評価―第5回 評価者の負担を軽くするには

2015.05.11

 前回までのこのコラムでは、誰からも欠陥を指摘されないような評価はありえない。ある程度の不条理は受け入れたうえで、それを小さくする努力をするしかないということを述べました。

 

 今回は不条理を解決するために何ができるのかについて考えてみます。

 

 評価で悩んでいる会社をみると、問題は①評価する人の負担が大きい、②評価基準に問題がある、③社員の反応が好ましくない方向に出る、④評価される側の不公正感の4点に概ね集約できます。これらはけっして解決不可能ではありません。

 

 まず評価者の負担が重過ぎるという問題です。

 

 評価などしている時間があったら、その分仕事をした方が良いという意見があります。しかし評価者にとって大きいのは、時間的な負担よりもむしろ精神的な負担です。

 

 ひと口に評価と言っても、その作業は採点をしたり評語(ABC)を決めたりすることだけではありません。部門の目標を決めて、それを受け入れるよう上司や部下を説得したり、個人に目標を割り振ったり、結果をフィードバックしたりすることも含まれます。評価する人にとって負担なのはこれらの作業です。自分が設定する部門目標に対して、上司は常に「低すぎる」と主張するインセンティブ(誘因)を持っていますし、部下は逆に「高すぎる」と主張するインセンティブを持っています。部下が立てた個人目標に対して、「それはだめだ」と言わなければならないときもあります。フィードバックは、成績が良い人だけでなく悪い人に対しても、自分との関係が良い人だけでなく悪い人に対してもしなければなりません。これらのことは考えただけでも憂欝になることでしょう。

 

 評価者の負担を軽減する方法としては、まず事務的な作業は徹底して人事部が行うことです。評価シートの催促や保存、スケジュール管理など、評価者でなくてもできることはすべて人事部が行います。評価者が使うシートなどは電子化して、集計項目は自動計算されるようにします。

 

 第2に、評価者研修を評価のつど行うことです。評価者研修を、新任の管理者に対してしか行わない会社がありますが、それでは明らかに不足です。他の業務もしており、年2回しか評価をしない人に、1回教えた評価の仕方をずっと覚えておれというのは酷です。

 

 第3に、目標の達成率を評価対象にするならば、評価対象期間が始まる前に全社目標を決めることです。全社目標がない状態で立てる部門目標というのは、ある意味で部門長が勝手に立てた目標ということになり、そこに上司からも部下からも抵抗の余地が生じます。全社目標を受けた形の部門目標であれば、部門長に文句を言うことはできません。 

 全社目標の設定が遅れる理由として多くあげられるのは、その時点で前期の決算書ができていないことです。しかし目標は1円単位まで正確な決算を見なければ立てられないわけではありません。概算の集計表を見ても十分決められるはずです。 

 また目標は財務上のものだけではありません。仕事の進め方に関する目標や、組織あるいは個人の能力開発に関する目標、顧客に関する目標などもあります。これらは決算書がなければ立てられないわけではありません。

 

 第4に、評価基準をできるだけ具体的なものにすることです。たとえば「意欲的であるか」ということについて採点したりフィードバックすることは憂鬱なはずです。「あなたは意欲が低い」などと言われたら、誰だって反発を感じます。ですから評価基準書が、何をもって意欲的というのかについて規定していれば、フィードバックも少しは楽になります。「このような状態であれば10点、このような状態であれば9点、・・・」というような採点基準があればもっと楽になります。

 さらに、主観で判断する必要がない、目標達成率のようなものについて評価することは格段に楽です。