経営者の間には、基本給を充実させることを嫌い、給料を上げるなら手当で対応したいという方がいます。
理由を聞うと、一番多く返ってくる答は「基本給を上げると、スライドして残業手当が上がるから」です。
しかしこれは誤りです。
法令上、除外賃金(残業手当の算定基礎から除外することができる給料)は家族手当、住宅手当、通勤手当、子女教育手当、単身赴任手当、賞与、慶弔見舞金など特別に支払う賃金の7つだけです。
たしかに、これらが大部分を占める給与体系を作れば、残業コストを減らすことができます。
しかしそれでは、給料が労働の対価なのか福祉的給付なのかわからなくなってしまいます。
もちろん、上記の諸手当はそう呼ぶにふさわしいものでなければなりません。
たとえば通勤費用と関係なく支給するようなものは、たとえ通勤手当と称していても、除外賃金ではありません。
上記以外の手当、たとえば調整手当だとか技能手当だとか称するものは、いずれも除外賃金ではありません。
手当を利用して残業コストを軽減ことはできません。
「手当はいつでも下げられるが、基本給は下げられない」と考えるのも誤りです。
法律は基本給と手当を区別していません。
両方とも「賃金」です。
賃金を一方的に切り下げることは、労働契約法に違反します。
いままで慣例的に基本給の何か月分かをを支給してきたとしても、基本給が増えたらその分、「○○か月分」という支給率を下げれば済む話です。
働く人が気にしているのは、賞与が何円であるかだけであり、基本給の何か月分かではありません。
退職金にしても同様です。
基本給を退職金の算定基礎給としている状況で基本給を増やしたなら、その分支給率を下げれば済む話です。
「いま退職したらいくら支給されるか」という金額さえ保障すれば、社員は反対しません。
「基本給恐怖症」には根拠がありません。
