給与体系を持つことは必須ではなく、選択的です。

世の中には給与体系がない企業もあり、そういう企業でも立派に存続しています。

しかし一定規模以上の企業にはほとんど給与体系があります。

厚生労働省の『令和7(2025)年賃金引上げ等の実態に関する調査』によると、従業員従業員100人以上の企業の72%に、業績評価によって金額を決める定期昇給制度があります。

業績評価によって定期昇給をしている会社に、給与体系がないとは考えにくいので、この数字がほぼ、給与体系がある企業の割合であると推定されます。

企業はなぜ給与体系を定めているのか。

理由はまず、生産性が高いということです。縁故や情実で給料を決めたり、すべての人に均等に給料を分配したりするシステムより、評価で給料を決めるシステムの方が、高い生産性につながります。

第二に、評価で給料を決めるシステムのもとでは、人は年齢や性別、学歴、国籍などで差別されないので公正です。

第三に、業績主義のもとでは、誰でも努力や才能次第で出世でき、高給取りになれます。どの程度まで出世し、高給取りにはるかを自由に選ぶことができます。

無論これらは、評価が公正に行われていればの話です。

 

 

 

 

すべての人に平等に賃金を分配したり、縁故や情実で人を登用したりするシステムよりも高い生産性につながります。

第二に、業績で賃金を決めるシステムは、のメリットは

齢給や生活給ではなく、能力主義の賃金制度です。

能力とは、心理学では知能であるという見方が有力ですが、能力主義賃金は知能指数で給料を決める制度ではなく、成績で賃金を決めることを言います。

なぜ賃金は能力主義が良いのか。

賃金に限定した話ではありませんが、アメリカの政治哲学者マイケル・サンデルは、能力主義は生産性の高さ、公正さ、自由という三点で魅力的であるといっています。

(ただしサンデルは、能力主義が現実には深刻な問題をはらんでいることも指摘しています)

努力や創造性や才能に報いるシステムは、貢献とは無関係にあらゆる人に平等に分配するシステムや、情実に基づいて人を登用するシステムよりも、高い生産性につながります。

能力に基づいて人に報いるシステムは、業績以外の基準で差別されないという意味で公正です。

自分の努力や才能次第で出世できるという意味で自由です。

日本で能力主義以前に主流であった賃金制度は、属性主義と生活給です。

職員(現代の役員に相当)と工員で大きな賃金格差があり、工員が職員に昇進することは極めてまれでした。

工員と職員を分けるものは学歴で、大学・高等商業学校・高等工業学校を卒業していない人が職員になる道はほぼ閉ざされていました。

職員の賃金は生活給といって、「本人給」という名の年齢給と、扶養家族数で決まる「家族給」で全体の三割から五割を占めていました。

能力主義賃金も完全ではありませんが、属性主義、生活給よりは相当ましではないでしょうか。

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