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眼からウロコの賃金管理―第5回 いま求められる賃金改革とは⑤昇給率も経済成長率相応のものに
2015.04.27
昇給率も経済成長率相応のものに
かつて春闘とは、ベースアップをめぐる交渉でした。インフレがあったので、給与規定で定めた定期昇給をするだけでは労働者の実質的な賃金(名目賃金÷物価指数)が目減りしてしまいました。これでは労働者が困るので、ベア率について交渉することが定例化しました。企業側も、経営が厳しい時にはベア率をインフレ率以下に抑えることによって、実質賃金を引き下げることができました。
現在のようにデフレの経済下では、ベースがそのままでも実質賃金が上がってしまいます。そうかといって給与規定で各等級各号の金額を明確にしているのに、それを下方に変更するというのでは、規定を設ける意味が危うくなってしまいます。
残念ながら日本の企業、特に中小企業がベース、すなわち号に付随する金額を固定した賃金制度を維持すること、すなわち昇給額を固定することは困難です。日本のGDP成長率は、980年代には3.8%でしたが、2000年代は0.58%です。2000年代は明治維新から戦前までの平均よりも低い率です。世界のGDPに占める日本のシェアは、1994年には17.9%でしたが、2008年には7.9%まで低下しました。昇給額も経済の成長率相応のものにしなければ、企業が存続してゆくことはできません。